改正給特法成立・・・先生は?学校は?何が問題になっているの?

教育
教員、夏休みまとめ取りOKに…改正給特法成立 残業は月45時間以内 
 公立校教員の労働時間を年単位で調整できる「変形労働時間制」の導入を盛り込んだ改正教職員給与特別措置法が4日、参院本会議で可決、成立した。長時間労働が問題とな…

令和元年12月4日、自民党が押し切った形で改正給特法が可決されました。ニュースにも取り上げられてはいるものの、何が悪いの?何で問題視されているの?と思っている方も多いはず。学校現場に出入りする立場として、今回の給特法について考えてみます。

給特法ってそもそも何?

給特法とは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」のこと。

もともとは戦後に確立された学校教育が進んできた中で、教員の多忙が問題になった1960年にできた法律。国は地方に教員の残業代を支払うように命じてきたけど、叶わなかった。(国がやらないのもおかしいんだけど)そこで、「月に平均して8時間も残業しているのが教員だから保障しよう!」ということで、給料の4%を「調整費」として教員に支払うように決めた。

そう。もう60年も前に考えられた法律なんです!!

給特法改正はどうなっていくの?

残業時間が長すぎる

1960年に成立したときには、「平均して月8時間」の残業時間がベースになっていた…

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/08/03/1297093_6.pdf

教員勤務実態調査(平成28年度)の 集計(速報値)について 平成29年4月28日 文部科学省 初等中等教育局

文科省が平成28年に調査したデータによると、小中学校共に毎日3時間以上の残業をし、土日も出勤しているとでています。

ん?でも、朝7時ころから先生いるよね。夜も9時くらいまでいる先生いるし・・・部活やってたらもっと流そう。

そうなんだよ。これはあくまで文科省の調査だから、どこまで把握できているかはわからないよね。体感的にはもっと長そうだよ・・・

データ内にもあるように、持ち帰り仕事などは含まれていません。月100時間以上の残業が当たり前になっている学校も多くあります。

じゃ、上限を決めましょう・・・!?

そこで給特法改正案では、 公立校教員の労働時間を年単位で調整できる「変形労働時間制」の導入 をメインにしました。

  • 月の残業時間は45時間まで!
  • 繁忙期は勤務時間を増やして、夏休みにまとめてとることも出来るように!

こんな風に決めたのです。

月の残業時間45時間?

これ、平日が付きに22日だとしたら、毎日2時間程度ということ。公立教員の勤務時間は8:15~16:45なんです。

お気づきの方もいると思いますが、こどもが登校する時間ってもっと早かったりします。なので、ほとんどの先生がもっと早く勤務開始をしています。そして、小学校ですら、2年生以上は6時間授業の日があり、下校指導まですると4時近くなっているのが現実です。そこから、本来ならば「休憩時間45分」を取る必要がある。(給食時間や中休みなどは指導時間に含まれます)

会議をする時間も、打ち合わせをする時間も、教材研究やノート点検、授業準備などする時間も皆無となるんです。

繁忙期っていつ?夏休みは時間があるの?

答申の中での繁忙期は4月とも言われていますが、他の月も繁忙期です。5月になれば運動会があったり、6月にはプール指導や個人面談などがある。夏休みは少し余裕がでるものの、研修があったり、水泳指導や補講をおこなっている学校もあります。授業日数の確保で夏休み自体が短くなっている自治体も多くあるほどです。

定額はたらかせ放題に拍車がかかるだけ?悪いところだらけなの?

給特法改正自体は、悪いものでもないと考えています。

でも!!他のことを先に手を付けないといけないだろう!!!と思っています。

残業は確かに制限されたらいいんです。やむをえないのなら、まとめてとるのもいいでしょう。夏休みに海外留学するくらい余裕があったらいいんですよ、本当に。先生がそんな経験を話してくれたらこどもたちだって楽しいじゃないですか(´▽`)

本当に今取り組むべき優先事項とは?

これはね、文科大臣もはっきりと言っているんです。

導入にあたっては「教師でなければできないことに教師が集中できるよう」にするための業務削減や、残業上限時間の順守が前提とし、総合的な働き方改革を引き続き進める

令和元年12月4日 国会審議内  萩生田光一文科相

実は、財務省も文科省も業務の見直しやろう!って言ってるんです。(言ってるだけなのが問題なんですが)部活動も教員の仕事じゃないよね、ってなっています。部活動がやりたくて教員になった方もいるし、この制度が必要なこどもたちがいるのも確か。でも、カタチを考えていくときなんだと思います。

1.業務内容の削減

2.教員(またはそれに代わる業務に携わる人材)を増やす

この二点を進めないことには、残業時間を減らすことも、教員の魅力を高めることもできないでしょう。なにより、やる気をそがれ、疲れ切って余裕のない教員がいることはこどもたちにとってもデメリットにしかなりません。

まずは業務内容を削減すること、そして学校に関わる人を増やすこと。それができると、自ずと残業時間も適正化されてくるはずです。

「先生たち大変ねー」で終わるのではなく、「業務削減を!」「人材増を!」の声を保護者の立場としても上げていきたいと思います。

先生忙しいから相談辞めとこう…っていうのは違うからね!こどものことは第一に考えているので、気になることは遠慮なく伝えてくださいね。

勤務時間内に電話することや、連絡帳やお手紙を使うことは考えられるといいかもね!

施行されるまで2年半あるから、今後の動きに注目です!

まとめ

・給特法は60年にできたもの。「定額はたらかせ放題」と言われる元。

・教員に残業代はなく、代わりに4%の調整額がプラスされている

・改正法で変形時間労働制が導入されることに

・まずは業務内容の精査と人材確保が必須!!!!

・施行まで2年半。どうなっていくか保護者も先生たちもみんなでみていく事が必要。

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